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エンタープライズアーキテクチャの課題

エンタープライズアーキテクチャのプラクティスをビジネスに導入する前に検討すべき課題は数多く存在します。主な課題とその解決策とは何でしょうか?

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はじめに

EA(エンタープライズアーキテクチャ)を正しく構築すれば、組織に大きな価値をもたらすことができます。EA の価値とメリットとしては、プロセスの改善、効率性の向上、より的確な意思決定が挙げられます。

しかし、それほど有益であるにもかかわらず、EA に投資する組織が増えないのはなぜでしょうか。それは、EA が必ずしも取り組みやすい分野ではないからです。特に、どこから手を付ければよいか分からないことがあります。

EA の課題は、導入とガバナンスに関する指針が不足しているときに生じます。さらに EA では、EA プログラムを順調に進めるために絶えずイノベーションを起こす必要があります。

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EA 導入の主な課題

EA に関する大きな課題の 1 つは、その導入です。どこから手を付ければよいか分かりにくいことがあります。そして組織の規模が大きい場合、グローバルなビジネスユニットと地域別ビジネスユニットを考慮する必要もあります。

EA の計画は、非常に初期の段階からスタートし、適切なツールの選択、ベストプラクティスの確立、全社的ビジョンの策定が行われます。

以下に挙げるのは、EA 導入の課題のうち、初期段階でよく見られるものです。しかし、これらを回避する方法はあります。

1. ビジネス部門から十分な賛同を得られない

アーキテクトが克服すべき最初の主な課題の 1 つは、すべてのステークホルダーに EA の価値を納得してもらうことです。その価値を理解できないステークホルダーがいるとしても、EA への賛同は不可欠です。最終的に、EA プロジェクトの成否は、全社的に受け入れられ、支持を得られるかどうかで決まります。

関連するステークホルダーは全員、EA の継続的な開発にコミットする必要があります。その価値をじっくり理解するには、共通の長期的なビジョンを持たなければなりません。

解決策

EA は、組織がコストを削減し、効率性を向上させ、イノベーションを促進するのに役立ちます。しかし、こうしたメリットはかなり漠然としています。多くの CEO や上位のステークホルダーが EA プロジェクトを価値あるものであると判断するには、何らかの測定可能な結果を必要とします。

予測される測定可能なビジネス上のメリットをビジネスケースとしてまとめれば、組織への EA の価値の売り込みに役立ちます。

明快なコミュニケーションも、ステークホルダーの賛同を得るために不可欠です。EA は複雑なトピックであり、それを理解するにはテクノロジーやビジネスプロセスを熟知している必要があります。しかし、すべてのステークホルダーがそのような知識を有しているとは限りません。したがって、分かりやすい言葉で EA の価値を説明することが賛同の獲得につながります。

2. リーダーシップとビジョンがない

EA の成功にはビジョンが不可欠です。EA とは、一夜にしてビジネスに利益をもたらすものではありません。アジャイルの原則と継続的なイノベーションへのコミットメントです。

ビジネスの短期的なニーズと EA に必要とされる長期的な戦略との間に葛藤が生じることは少なくありません。ビジョンが不可欠です。

EA プロジェクトは、リーダーシップが欠けるとたちまち失速します。主要なステークホルダーが EA とそれによる価値に全面的に賛同している必要があります。これを実現するにはまず、EA を組織のテクノロジーおよびビジネスインフラの基礎に組み込まなければなりません。

EA の長期的な目標へのコミットメントなしでは、EA プロジェクトの成功は危うくなります。

解決策

この課題の解決には、先に挙げたビジネス部門の賛同が必要になります。EA の優れたビジネスケースを構築すれば、主要なステークホルダーは EA 活動の価値に納得します。EA の設計、構築、運用の全フェーズを通じた明確な KPI、ガバナンスプロセス、ロードマップを示せば、ビジネスリーダーはビジョンを理解します。

3. EA 業務向けツールを利用しない、または不適切なツールを使用する

EA には、専用のツールが欠かせません。このようなツールは、従来のレガシーな IT プロセスやビジネスプロセスから、最新かつアジャイルなクラウドベースのプロセスへの変革を支援します。

ツールは、初期の分析と設計の段階から EA を支援します。そのため導入フェーズでは、適切なツールを選ぶことが重要です。

制約のあるツールや専用のものではないツールを選ぶと、のちのち問題が生じる可能性があります。これは多大な時間とコストの浪費につながりかねません。

解決策

コラボレーション可能で最新の状態を維持しやすく、実用的なレポートも簡単に作成できる、EA 専用のツールに投資しましょう。

アクセスが分散されることでワークフローが最適化され、ステークホルダーは自ら分析を主導できるようになります。品質保証のメカニズムによってデータ品質は向上し、組織の意思決定基盤は大幅に改善されます。

次世代型の EA ツールを利用すれば、最適なスピードと最大限の制御でクラウドネイティブへの移行を実現できます。

最新の EA ツールは、そのデータ主導性によって迅速かつシームレスな変革を支援します。これにより、IT 機能およびビジネス機能やカスタマージャーニーにさらに集中できるようになります。

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EA ガバナンスの主な課題

EA 導入の課題について検討したら、次に待ち構えているハードルはガバナンスです。EA ガバナンスは、企業のアーキテクチャ要件を、遵守しやすい一連のポリシー、プロセス、手順、標準に変換するために必要とされるもので、ビジネス戦略の展開と維持に欠かせない要素です。

EA ガバナンスの課題は、そうした標準のあるべき姿を具体化するときに生じます。

優れたガバナンスは、ビジネスマネジメントのあらゆる基本的な要素を網羅しています。これは、明確なビジョン、確固たるリーダーシップ、組織構造に関する包括的な知識がなければ、構築するのが難しいこともあります。

1. 計画を詰めすぎ、行動が不足する

計画とモデリングの詳細に時間をかけすぎることは避けましょう。エンタープライズアーキテクトは時として「象牙の塔」の住人であるとのそしりを受けることもあります。つまり、現実世界とビジネス上のニーズからかけ離れているということです。

解決策

アーキテクチャと組織の IT 部門、ビジネス部門、予算の現実との整合性を確保します。

2. 何もかもをモデリングしようとする

あらゆる事態に備えて何もかもをモデリングしようとしてはいけません。ビジネスに影響を及ぼす破壊的な事象をもれなく予期することは不可能です。

iPhone の発明と、それがメディア消費や企業の IT に及ぼした影響を誰が予測できたでしょうか。

EA モデルをシンプル化してビジネス機能に焦点を絞れば、予期せぬ事象やトレンドへの対応に必要な柔軟性を保つことができます。

EA ツールを利用して EA インベントリーを作成するに当たっては、どのような問題を解決したいのかを明らかにする必要があります。そうすることで初めて、取得し、保守すべきデータを特定できるのです。

例えば、どのアプリケーションを投資または整理の対象とすべきかを、技術および機能上の適合性に基づいて見きわめるとしましょう。そのためには、アプリケーションに関する情報を収集して、技術および機能上の適合性を評価する必要があります。

正当な理由もなくデータを収集するのは避けるべきです。インベントリーが詳細になるほど、その品質を保証することは難しくなります。

トレードオフは常に存在します。緻密なモデルを求めるならば、データを最新に保ち、保守するための労力については妥協しなければなりません。

解決策

ユースケースをじっくり検討しましょう。本当に必要なレポートはどれでしょうか。まずは重要なユースケースを 1、2 件選び、必要な情報を収集します。このとき選ばれるユースケースは「アプリケーション合理化」かもしれません。EA プラクティスが確立されていけば、ユースケースの追加は後からいつでも検討できます。

ビジネス機能マップを作成するときは、深さよりも広さを追求しましょう。LeanIX ワークスペースを分析した結果によると、企業は一般に最高レベルで 7~10 の機能を使用しています。また企業の 70% は、ビジネス機能のレベルを 2 つまでに抑えています。

軽量なアプローチに従えば、複雑度が下がり、本当に重要なことに集中できるという明確な利点が得られます。

3. 誤ったレベルで問題解決をする

組織の現実からあまりに遠ざかってしまうこともあります。以下では、アプリケーション合理化プロジェクトで視点を離しすぎたことで、重要な細部を見失ってしまった EA の例をご紹介します。

あるグローバルな物流企業では、コスト削減のために荷物追跡アプリケーションをウェブベースのシステムに置き換える予定でした。ところが、計画し、予算を策定した後、ドライバーが使用しているコンピューターではそのようなシステムを稼動させることができないとイタリア支店長から指摘されました。

解決策

複雑な技術的詳細にとらわれすぎても、高次の戦略的なモデルばかりに時間をかけすぎてもよくありません。

EA の問題は、「必要最小限」の EA を「ジャストインタイムで」実施することで避けられます(ガートナー社)。

万人のための網羅的な EA を目指すのではなく、少数の明確な目標とその測定指標に焦点を絞り、成果を追跡しましょう。

 

まとめ

EA にはさまざまな課題がありますが、戦略的な EA 計画、強力なリーダーシップ、そして適切なツールを活用すれば、克服することも不可能ではありません。

組織はこれらの EA の課題に早期に対処することによって、イノベーションと、EA が長期的にもたらす価値に集中することができます。したがって、EA(およびビジネス)の進化に応じて EA のプラクティスを発展させ、適応させていくことが重要です。

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FAQ(よくある質問)

エンタープライズアーキテクチャの今後の大きな課題は何ですか?

EA にとって最大の課題は、変化や混乱に柔軟に対応し、適応することができるかどうかです。EA を組織とともに進化させることが鍵となるので、アーキテクトは予測不能な状況に適応し、対応していかなければなりません。
エンタープライズセキュリティアーキテクチャを導入する上での課題としては、コンプライアンス要件の遵守、組織全体でのアーキテクチャの断片化、新たなテクノロジーの採用、ステークホルダーの支持獲得などが挙げられます。
EA の課題としては、ステークホルダーの賛同が得られないこと、強力なリーダーシップが存在しないこと、適切なツールを選定すること、ビジネス部門が設定した目標と EA 活動の整合性を確保しなければならないことが挙げられます。
EA は、プロセスの改善、長期的なコスト削減、組織のビジネス構造と IT 構造の最新化を目的として構築されます。しかし、EA が機能するのは、ステークホルダーによる十分な理解と支持が確保された場合に限られ、共通の明確なビジョンや顧客中心主義との整合性が必要となります。
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