EA の基本事項

エンタープライズアーキテクチャの価値

エンタープライズアーキテクチャは、プロセスの改善、効率性の向上、より的確な意思決定など、さまざまな価値を現代の企業にもたらします。

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はじめに

EA(エンタープライズアーキテクチャ)は独立した専門分野であり、大規模な組織内で複雑なビジネス構造と IT 構造を整合させます。また、さまざまな部門をまたいで実用的な標準を導入するという、戦略的かつ技術的な役割を担います。

EA の目標は、プロセスを合理化すること、テクノロジーアーキテクチャの最新トレンドを分析すること、そして IT 戦略と組織のミッションの整合性を確保することです。

7 Use Cases Email Image-02エンタープライズアーキテクチャの 7 大ユースケース(英語)

 

エンタープライズアーキテクチャの価値とは 

EA の価値は、全組織的な問題に対する解決策を打ち出すことによってもたらされます。EA は、企業がまとまりのある全社的なテクノロジーランドスケープの実現に取り組むことによってアジリティを高め、戦略的目標を達成できるよう支援するという役割を担っています。また、組織の IT ランドスケープを最も包括的に捉えるという役割もあります。

したがって、EA は中核的なビジネスニーズやプロセス改善の方法を完全に把握します。

EA の価値は、データ管理、アプリケーション開発、IT インフラ、ビジネスプロセス、および組織全体への影響の改善を通じて最もよく具体化されます。

Enteprise Architecture ValueEA の価値の定量的見積もり

以下の段落では、EA の主な価値と、現代的な組織にとって EA が重要な役割を担う理由について説明します。

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1. IT とビジネス目標の整合性の改善

EA は、ビジネス戦略を支援または主導することによってプロセスを改善し、IT ランドスケープを最適化します。これは EA が、アプリケーションランドスケープ、ビジネスプロセス、および部門間の情報フローの全体像を包括的に把握することを意味します。

EA は IT とビジネスの整合性を改善することによってさまざまな情報源を分析し、エンタープライズランドスケープにおける予期せぬ問題や将来の問題を解決することができます。

このような問題解決は、IT の保守管理、ソフトウェア移行の監督、重要なビジネスプロセスの最適化、業界関連テクノロジーの把握など、企業の競争力を維持するために役立つあらゆる活動の中で行われる可能性があります。 

 

2. 効率性と効果の向上

IT ランドスケープを最適化してビジネスプロセスと整合させる主な目的の 1 つに、全組織におよぶ重要なプロセスの効率性と効果の向上があります。それによって組織全体に影響を与え、継続的な最適化活動に向けた確固たる土台を築くことができます。

これを実現するための一環として、EA では、必要不可欠なツールやコラボレーションプラットフォームを導入します。このようなツールやプラットフォームによって、ビジネスアーキテクチャを理解し、分析できるようになります。また、ビジネスニーズの特定、データの収集、ソリューションの調査、計画の策定、結果の測定も可能になります。これらはすべて、EA が目標とする状態のアーキテクチャ(英語)を実現するために重要なものです。

SAP LeanIX Enterprise Architecture ツールは、実用的なダッシュボードを備え、多種多様なステークホルダー向けにレポートを作成できるソフトウェアです。エンタープライズアーキテクトは、このツールによって継続的かつ協働的にビジネスを変革できます。

LeanIX Enterprise Architecture は、EA がコスト削減や効率向上などのさまざまなメリットを実現することを目標として、システム、プロセス、アプリケーションの重複を特定・排除するために役立ちます。

 

3. アジリティの強化

組織全体のビジネスアジリティが強化されることも、EA の主な価値の 1 つです。ここで言うビジネスアジリティとは、アジャイルソフトウェア開発とは別物であり、組織が市場や顧客環境の変化に効果的に対応することを支援する、独立した概念を指します。

つまり、EA とビジネスアジリティは、企業が行動の制約を減らし、戦略的変革をシンプルかつ効果的に実施しやすくするものです。

アジリティが高まると、消費者ニーズへの対応力の向上、継続的かつ持続的な変革に取り組むための準備、リソースの効果的な再配置など、企業が競争力を強化しやすくなります。

 

4. より的確な意思決定

EA は、より的確な意思決定をサポートします。そのためには、切迫した状況にあっても迅速かつ効果的な意思決定を可能にするよう、ビジネスの構造に関する明確なデータとインサイトを企業のリーダーに提供します。

情報やデータの途絶は往々にして、透明性が欠如していることと、情報へのアクセス方法が不明瞭であることが原因で起こります。それが技術的な混乱、ボトルネック、プラットフォームやドメイン間での情報共有不足を招きます。

EA は、組織のデジタルな仕組みの明確な全体像を示すことで、意思決定の円滑さとアジリティを向上させます。それによってビジネスと IT 両方の価値と透明性を高め、柔軟性を向上させ、重要なビジネス課題への答えを示し、組織の戦略実行と目標達成を支援するデータ主導のインサイトと可視化をもたらします。

 

5. ガバナンスの強化

ガバナンスが強化されることも、EA の価値の 1 つです。EA ガバナンスは、経営管理のあらゆる要素を網羅します。例えば EA ガバナンスには、確固たるリーダーシップ、組織構造に対する完全な知識、明確な戦略的方向性、組織の目標を達成するための効果的な IT プロセスの実現が必要とされます。

EA ガバナンスの主な目的は、企業のアーキテクチャ要件を一連の単純明快なポリシー、プロセス、手順と調和させることです。そのポリシー、プロセス、手順はいずれも、組織のビジョンを実現させ、組織の標準を実際のビジネス要件に整合させるためのものです。

EA ガバナンスは、組織によるコストの大幅な削減、アーキテクチャの一貫性の向上、透明性と説明責任の強化による課題の克服に役立ちます。また、EA ガバナンスによって改善領域が明らかになり、真のベストプラクティスが特定される可能性もあります。

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エンタープライズアーキテクチャ導入上の課題

EA は極めて重要ですが、組織は EA を導入する過程でいくつかの障害に直面する傾向があります。EA の課題の例は以下のとおりです。

  • EA には長期的なビジョンが求められますが、そのようなビジョンが企業の短期的なニーズと、目標とするアーキテクチャを実現するための長期的な投資との間に葛藤を生じさせることがあります。このプロセスをサポートすることについて、全部門のステークホルダーから賛同を得ることが重要です。

  • エンタープライズアーキテクトは、最新のテクノロジーやトレンドだけに注目するのではなく、組織全体を俯瞰する必要があります。そのテクノロジーを導入することが、組織のビジネスロジック、データ品質、プロセス、情報源、ソリューションアーキテクチャと整合するのかを考えます。EA にとっては、企業のニーズを包括的に分析することが重要です。

  • ライフサイクルプロセス全体を通じて、ステークホルダーやユーザーグループとのコミュニケーションチャネルを常に開いておく必要があります。EA は、アーキテクチャの進捗、メリット、適用範囲を絶えず伝達できなければなりません。

  • 適切なチームメンバーの選定もエンタープライズアーキテクチャの大きな課題です。ビジネス、プロセス、技術的な IT に関するスキルのバランスを保てれば、ビジネス目標の達成に向けて最適な EA チームを構築することができます。 

 

まとめ

結論として、EA への投資には大きな価値があります。企業は EA を導入することにより、データ主導で透明性の高い、アジャイルな方法によってプロセスの最適化、戦略的目標の達成、市場の変化への適応を実現できるようになります。

EA は、組織が競争力を維持し、ビジネステクノロジーの最新の動向を常に把握できるようにするための最善の方法の 1 つです。

一貫性のあるターゲットアーキテクチャを設計するプロセスは、敷居が高く感じられるかもしれません。しかし、導入する EA ツールとそのメリットにより、将来を見越した体制を整え、課題の予測、効率性の向上、コストの削減を促進できるようになるでしょう。

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FAQ(よくある質問)

エンタープライズアーキテクチャの主たる目的は何ですか?

EA は、大規模な組織内の複雑なビジネス構造と IT 構造を整合させることで、アジリティの向上、ビジネスプロセスの改善、戦略的目標の達成を目指すプロセスです。
EA の価値は、有効性、アジリティ、ビジネス目標とビジネス戦略との整合性によって測定できます。また、顧客、ビジネス成長、財務に関する追跡可能な指標も存在します。
EA は、組織のアーキテクチャ要件と IT 要件を調和させることによってビジネス戦略と整合し、それを支えます。そうした結果、単純明快なポリシー、プロセス、手順、構造を組織全体で実現することができます。EA の目標は、複雑さを軽減し、アジリティを高め、新旧のインフラを最適化することにより、ビジネスに利益をもたらすことです。
EA に対する責任を負うのはエンタープライズアーキテクトですが、望ましいターゲットアーキテクチャの開発には、組織全体のステークホルダーや経営幹部も関与します。
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