TOGAF® は、ビジネス効率の改善を目的としたエンタープライズアーキテクチャの方法論でありフレームワークです。
► TOGAF がもたらす課題と価値を理解し、TOGAF アーキテクチャ開発手法 (ADM) をどのように管理すべきか学びましょう。
TOGAF® の ADM プロセスは、エンタープライズアーキテクチャの以下の 4 つのドメインにおけるワークフローを加速させることを目的として設計されています。
TOGAF は、エンタープライズアーキテクチャの主要な構成要素の概要を 4 つのアーキテクチャドメインを通じて説明するだけでなく、そのアーキテクチャをいかに構築すべきかについての明確なロードマップも示すものです。このロードマップはアーキテクチャ開発手法 (ADM) として知られており、9 つのフェーズからなる順序立ったプロセスとなっています。ADM は、組織がエンタープライズアーキテクチャを開発する際の指針となるもので、その概要は図 1 に示すとおりです。
TOGAF ADM プロセスの 9 つのフェーズ全体を通じて、先に述べた 4 つのアーキテクチャドメインが反復的に開発されていくため、組織変革を可能にするバランスの取れたアーキテクチャが生まれます。どの業界にも適用可能なプロセスとして、この手法では推測が入り込む余地を狭め、エンタープライズアーキテクチャプログラムの成熟を促進しながら、さらには将来のプロジェクトを支援するために組織固有のアーキテクチャリポジトリーを充実させていくことを目的としています。
TOGAF® は現時点で第 10 版を数え、その定義と記号体系のライブラリーは進化し続けているため、そのフレームワークにアジャイルな形で準拠しようとすることは簡単ではありません。その難しさの大部分の原因は、TOGAF の包括的なアーキテクチャ・コンプライアンス・レビュー・プロセスです。つまり、情報およびシステム管理、ハードウェアおよびオペレーティングシステム、ソフトウェアサービスおよびミドルウェア、アプリケーション（ビジネス、インフラ、統合の仕様）、情報管理といったさまざまなカテゴリにわたる項目が、1 つのチェックリストに何百も含まれていることです。
コンプライアンスはアーキテクチャガバナンスに欠かせない要素であるとはいえ、TOGAF の標準に厳格に従うことは、いかなるエンタープライズアーキテクチャプログラムにおいても容易ではありません。したがって、TOGAF のベストプラクティスを効率的に実践したいと考える現代的な組織にとっては、IT プロジェクトを効率的に評価して整理・分類するために、組織全体のステークホルダーを巻き込むことがほぼ必須の要件です。
アジャイルと TOGAF を両立できるのは事実ですが、それを実現するには、IT エンティティをチーム間で標準化するための協働的な道筋を立てる必要があります。
TOGAF の第 10 版は、新たにモジュール形式を採用することで、いくつかのメリットを実現しています。TOGAF の第 10 版を構成する要素の 1 つである基本コンテンツ (Fundamental Content) では、TOGAF の基礎を網羅的に扱っています。したがって企業は、TOGAF の導入や学習に以前よりも着手しやすくなりました。この基本コンテンツが時間の経過とともに大きく変更されることは、ほとんどないでしょう。TOGAF の第 10 版のモジュール構造は、ガイダンスを改善し、ナビゲーションプロセスをシンプル化することで、エンタープライズアーキテクトが TOGAF を効果的に活用することを可能にしています。ナレッジベースとトピック別のガイダンスは、TOGAF の正式な構成要素として独立しているため、基本コンテンツの安定性を保ちながら、追加資料を頻繁にリリースできるようになっています。
さらに TOGAF の第 10 版は、ビジネス戦略の基本的な側面を支援する能力を引き続き強化することにより、オープンスタンダードに準拠しながら専門の市場セグメント向けに新たな機能やサービスを提供するベンダーにとって、より有用なフレームワークになりました。このフレームワークは、ビジネスニーズの変化に適応できるように設計されており、なおかつ生きた知識体系であるため、継続的に進化するアジャイルな仕事の進め方を組織が確立することを可能にします。TOGAF の第 10 版は、変化の時代において価値を提供するために、TOGAF がどのように進化し続けているのかを示しています。
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